第9回けしごむ・はんこ・てん 大作品制作秘話【後編】

2019/03/13 ブログ
けしごむ

<トレースと彫り(1版目)> 

1版目をプリントアウトしてトレースを開始したのが12月。

プリントアウトはA4サイズのコピー用紙に分割しましたが、転写は服の型紙を写し取るパターンコピー用紙を使いました。

ずっと昔から持っていたものなのですが、773mm×1076mmの特大用紙が5枚入りで300円程。

それにしても、実際手で写し取ると大きくて時間がかかる…焦りが増してきました。

けしごむ

1~2日でトレースを終え、彫る作業。

IKEAで買ったケーキにクリームを塗るときに使うターンテーブルに、特大はんけしくんが送られてきた時の段ボールをのせて、その上にはんけしくんをセット。

回転させて彫るコツをつかむまでが一苦労でした。

 

1版目はハイライト部分だけなので、転写したものも彫ったものも、一体何を描いているのかわかりませんね。

けしごむ

<刷り(1版目)>

 

1枚で2度彫って刷るので、ここで1回目の刷り作業です。

まず紙をどうしたらいいのかかなり悩み、神保町の文具の名店「文房堂」さんで相談しました。

ドーサ引きをした鳥の子紙か、新鳥の子という薄手のものが適しているとアドバイスをいただき、新鳥の子を5枚、鳥の子を1枚購入しました。

念のため版画用の洋紙も他店で購入。

けしごむ

インクはバーサクラフトを使いましたが、インクパッドでポンポンつけるのは骨が折れそう…と思い、インカーをパッドにたらし、ローラーで伸ばす方法をとりました。

はんけしくんにインクを伸ばし、上から紙を置いてバレンでこする。版画の動画を見て研究しました。

洋紙も含めて7枚に1版目を刷りました。新鳥の子が一番インクのりがよく、本番はこれでいこうと決意。

また、2版目を転写するためのパターンコピー用紙にも刷りました。このパターンコピー用紙が一番綺麗に刷れた…

けしごむ

<トレースと彫り(2版目)>

 

続いて2版目をトレースします。1版目を刷った紙を下絵に重ねて、ずれのないよう写します。いよいよ全体像なので、1版目よりトレースにも時間がかかります。

終わるのか…と焦る焦る。

けしごむ

どうにかトレースを終えたのはクリスマス頃。そこからとにかく必死で彫ります。

しかしその頃の記憶があまりない…必死でした。

記念にと思って集めていた削りかす。全部で180g分彫っていました。

けしごむ

<刷り(2版目)>

 

2版目を彫り終え、刷りに入れたのは1月9日でした。彫って、クレンジングして、乾かして。出来上がったのがこちら。

けしごむ

実は彫り終えてから刷るまで、心の準備に数日かかっていました。何しろ1版目は7枚程刷っただけ。この7枚以内で完成しないといけないので、想像しただけで胃が痛んでいました。

1版目を刷った紙の上下と左右の四方をインクに沿ってきっちりカットしました。それを2版目に重ねるとずれない、というのが試作でわかっていたことでした。

 

しかしさすが大サイズ。いくら目を凝らして確認したつもりでいても、刷ると消しゴムのカスが紛れ込み、刷りムラが発生します。ノイローゼになりそうになりながら5枚程刷りました。2枚は見本に残そう、と思ったのです。

 

「どうにかこれで完成か…」と思った一日の終わり。「どうかな」と見せた夫から「なんか色が薄くない?」と。がーん。

夫がそう思うならお客様もそう思うよね、と思い、再度重ね刷りをすることにしました。

さらによく見れば直したくなる部分もちらほら。結局もう一度手を加えて洗浄し、重ね刷りをしました。

しかし、手を加えてから重ね刷りをすると前のインクが残っていて、なんだか変。

とっておいた2枚に「これが最後!」と刷り、どうにか成功!!

 

今度こそ、本当に納得の仕上がりだ!でももう怖いから見ない!と乾いたら即額装しました。

<額装>

 

額装も悩みのタネでした。ある時でかけたIKEAで50×50ジャストの額を発見。深さも十分あります。

問題点は四方5mmずつが作品を押さえる板で隠れてしまうこと。即はんこてん事務局さんに相談し、OKをいただけたので同じものを2点購入したのでした。

 

いざ額装。はんこの厚み分、押さえ板をカットしようとしたら硬い硬い!買ったばかりの電動糸鋸は使いこなせず、結局大部分をのこぎりでギコギコ切りました。

さらに、はめ込んでみると裏板が薄くてはんこの重みで板がたわむというハプニング。

ホームセンターで5mm厚のMDFをぴったりサイズにカットしてもらい、裏板と交換しました。

これで正真正銘完成。

作品の全貌ははんこてんが終わってから掲載したいと思います。

 

 長い長い裏話にお付き合いいただきありがとうございました!

 消しゴムはんこって面白いなーと思っていただけたり、はんけしくんインストラクターさんの大作品への挑戦に少しでも役立てていただけたりしたら嬉しいです。